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ルーヴルの8番目の部門として2003年に創立されたイスラム美術部門

アル=ムギラの銘のある小箱

7世紀から現在に至るまで約1400年にまたがる、地中海沿岸国やイラン、中央アジアなどイスラム教圏の陶芸や貴金属、象牙細工、木工品、刀剣、絨毯絵画などの多様な分野を網羅したイスラム美術部門の創設はシラク大統領の決断により実現し、約1万点もの所蔵品から約1000点が常設展示されています。

20世紀のはじめ、専門家の間ではイスラム美術への興味が高まりました。この時期に、装飾美術館においてイスラム芸術のコレクションを収集し始める一方、ルーヴル美術館内にイスラム美術を展示するめの部屋を設けました。

ルーヴルと装飾美術館が所有するコレクションの大半は同じ寄付者が両方に作品を半分ずつ寄付したため相補的な関係となっていたのです。1920年代になるとイスラム美術と認められた陶器や貴金属を展示する部屋は2つとなりました。第2次世界大戦後にこれらは古代オリエント部門の管轄下となり、その状態が2003年まで続いていたのです。1980年以降、装飾美術館に収められていた約3500点のコレクションは展示を終了し、現在ルーヴルの所蔵となっています。

現在のコレクションはメトロポリタン美術館、ヴィクトリア&アルバート美術館に相当する質の高いものが揃っており、一部はスーサの遺跡から出土したもので、20世紀はじめにフランスとイランが共同で発掘を行っています。他に国王のコレクション、寄付、購買で購入されたものがあります。

イスラム美術部門のコレクションで有名なのは写真にある「アル=ムギラの銘のある小箱」です。これはイスラム王国のウマイヤ朝がイベリア半島を支配した時代(711~1031)の代表的な工芸品で、1本の象牙から掘り出されています。用途は不明ですが、宝石箱、化粧箱などと推定されています。

カリフ、アブド・アル=ラーマン3世の息子へ送られた品で、アラビア語でその名前が刻まれています。4つのメダイヨンの中には、鳥の巣を持った2人の男性、牛を襲う獅子など、狩猟や宮廷生活の場面が左右対称で表現されています。