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イタリア・ルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチ

西洋絵画の代表「モナ・リザ」

1517年、レオナルド・ダ・ヴィンチはフランソワ1世の招きを受けフランスにやってきました。彼が人生最後の地として選んだのはロワール河畔のアンボワーズ近くの城館ですが、その折に保有していた作品の一部は死後、フランス王家の所蔵となり、今日に至っています。

とりわけ有名なのがルーヴルの至宝の一つと数えられる「モナ・リザ」です。同作品を描くにあたって、レオナルドが誰をモデルとしたのかは世界の美術愛好家にとって大きな謎となっており「謎の微笑み」とも呼ばれています。モナ・リザを目的としてルーヴルを訪れる人は毎年600万人とも言われています。同時代のほかの作家の人物像に比べて彼女の表情が実に生き生きしているのが実感でき、レオナルドの抜きん出た技量がわかります。

ルーヴルにはモナ・リザ以外にも是非鑑賞しておきたいイタリア絵画があります。レオナルドの「聖アンナと聖母子」や「洗礼者聖ヨハネ」、フラ・アンジェリコの「スザンナの沐浴」、10メートル近い横幅をフェロネーゼの大作「カナの婚宴」など、初期ルネサンスからヴェネツィア派を中心とする珠玉の作品が並んでいます。

ルーヴル所蔵の絵画の多くはフランス絵画です。ルネサンス以前のフランス絵画としては、中世の影響を色濃く残す15世紀の「アヴィニョンのピエタ」が目を惹きます。この作品は、磔刑となったキリストを嘆き悲しむ聖母マリア、聖ヨハネ、マグダラのマリアの細やかな表情を描いたもので、フランドル美術の綿密な描写と、イタリア美術の自然の観察にもとづいた表現という両美術から影響を受けているのが特徴です。

16世紀ではジャン・クルーエの「フランソワ1世の肖像」、貴婦人の入浴を描きエロティシズムを感じさせるフォンテーヌブロー派の画家による「ガブリエル・デストレ姉妹」が有名です。左側の妹が姉ガブリエルの乳首をつまみ、姉は左手で指輪を見せるというなんとも謎めいたこの仕草は、アンリ4世の寵妾ガブリエルが庶子を解任したことを暗示していると解釈されています。

バロック時代の作品で圧巻なのはフランドルの巨匠ペーテル・パウル・ルーベンスの「マリー・ド・メディシスの生涯」です。リシュリュー翼の一室を占めるこの作品はイタリアからフランス国王アンリ4世に嫁いできたマリー・ド・メディシスを描いた24点からなる連作です。アンリ4世亡き後、幼い息子ルイ13世の摂政として実権を握ったマリーは息子から反発を受け、幽閉されていしまいます。

二人の間に和解が成立した1621年、和解の記念と王母の栄光を広く知らしめるという政治的な思惑からマリーはフランドル出身のルーベンスに自らの生涯を描くように命じたのです。ルーベンスは5年をかけて24の連作を見事に完成させましたが、マリーとルイ13世の関係は保たれること無く1631年マリーはブリュッセルに亡命、後にケルンで死亡しました。この作品には、母子の壮絶な物語が隠されているのです。